子どもたちのやる気を引き出し、前向きで主体的な集団をつくりたい

小学校の5年生の担任をしています。
合唱コンクールに向けてクラスで歌の練習をしていますが、児童たちは恥ずかしがってなかなか大きな声で歌ってくれません。
前向きな姿勢で参加してくれるとうれしいのですが…

解決策!
個人ではなく、グループ単位でC S Sプロセスを応用してみよう!

高学年にもなると、人前で歌うことを恥ずかしがるといった行動は多くの先生が経験されているのではないでしょうか。恥ずかしがらずに歌えるように導くにはレク理論にもあるCSS プロセスが最適なのですが、小学5年生の場合は注目を集めるようなことをすると逆効果になってしまう可能性があります。ではどうすればいいか。おすすめなのが、みんなで声を合わせる行為を楽しむ取り組みをしてみてはいかがでしょうか。やり方はシンプルで、小グループをつくり、グループごとに歌を練習し、発表してもらう。発表の際には、声が出ているグループを褒めるといったことを何度か繰り返しているうちに、他のグループも負けじと声が出てくる可能性があります。個人では恥ずかしいけれど、グループなら恥ずかしくないという児童の心理を生かした方法です。大きな声で歌うことは恥ずかしくない、歌うことは楽しいという土台をつくれれば、全然歌えなかったクラスが、合唱コンクールで上位入賞というサプライズを起こせるかもしれません。

C S S プロセス

CSS プロセスとは図のように「キャッチ」「スポットライト」「スプレッド」を何度も繰り返すことで、対象者の相互反応を引き出していく方法です。

(1) キャッチでは、どのようなことにスポットライトを当てるのか、あらかじめ想定しておきます。対象者に目配りしながら、表情や仕草を合わせる、頷く、笑顔を返すなどの共感を表す非言語的なコミュニケーションを用いながら行ってみましょう。

(2) のスポットライトでは、称賛の言葉をかける際に、「何が良かったのか」をできる限り具体的に褒めることがポイントです。短く簡潔に褒めることも心掛けましょう。

(3) のスプレッドでは、良い見本を周囲に示してもらいます。そうすることで、全体のやる気もぐんと高まります。個人の場合は抵抗感のある人も多いので、無理強いをする必要はありませんが、今回の場合はグループですので、個人の場合よりも抵抗なく見本を示してもらうことができると考えられます。

失敗することを恐れて挑戦することをしなくなっている

小学1年生のクラスの担任をしています。
日々色々な成長の機会があるのですが、中には失敗をすることを極端に恐れ、挑戦することを諦めてしまう児童がいます。
そうした児童をやる気にさせる、おすすめの支援技術はないでしょうか?

解決策!
ホスピタリティの精神とハードルの設定で児童のペースに合わせることが大切

苦手なことや、初めて挑戦することは、ドキドキ不安になったりして前向きになれないものです。それは大人でも同じだと思います。まずは、児童の想いに共感することが大切です。ただ、共感しても児童によっては失敗したくないという意識が先に立ち、やらないという選択肢を取ってしまうケースもあります。それは当然のことですので、例えばドッジボールの場合なら、「無理にボールを投げてキャッチする」のではなく、「転がしてキャッチする」「下手投げでバウンドさせてキャッチする」とハードルの低そうなことから始めてみてはいかがでしょうか。「自分にもできる」という成功体験を積ませ、喜びを共感していくことがポイントです。ここからさらに挑戦してくれれば言うことなしですが、児童によっては満足してそれ以上前に進まないこともあります。その場合も無理をさせるのではなく、児童が挑戦したいと思えるタイミングを待ってあげることが大切です。共感や称賛など、児童の想いに寄り添っていきましょう。

ハードル設定

ハードル設定の目的は、目標を達成できる喜びを知ってもらうことにあります。いきなり難しい課題を与えるのではなく、対象者が少しの頑張りで成功できるかもしれないと思える難易度の目標を設定しましょう。目標を達成し、次のステップへ進みたい場合は、その思いを後押しする、上のステップに進むことを怖がっている場合は、無理にステップアップを進めず、成功する喜びを味わってもらえればOKです。自主的に挑戦したいという思いが芽生えるまで、温かく見守ってあげましょう。また、ハードル設定は子どもに限ったことではありません。高齢者レクにも有効な支援技術ですので、ぜひ覚えておきましょう!

子どもたちにゲームの説明をしても上手く伝わらず、興味を持ってもらえない!

小学校1年生の担任をしています。
子どもたちのコミュニケーションを促進させるため、授業の導入や帰りの会などでゲームを取り入れているのですが、詳しい説明が必要になるゲームは、なかなか興味を持ってもらえません。

解決策!
一度に多くを説明すると頭が混乱するので「一指示一動作」&「説明のゲーム化」を。

一度にたくさんのことを言われても理解できなかったり、覚えられずに集中力が途切れてしまい、話が聞けなくなったりするのはよくあることです。飽きさせず、理解していることを確認しながら、テンポよくゲームを進める。その技術が「一指示一動作」です。「2人1組になる」「指で輪っかをつくる」「お互いの人差し指を相手の輪っかに入れる」といったように、1つの指示で1 つの動作を行わせると、動作をクリアするごとに、子どもたちも「次は何をするんだろう?」と集中力を切らさず、期待感を持って話を聞くことができます。1つずつの動作ができているか確認しながら進めることも意識しましょう。また、具体的な遊び方を説明する際は、一指示一動作に楽しみの要素を加えた「説明のゲーム化」を行うと、より引き付けながら楽しく進められます。子どもだけでなく、高齢者のレクリエーション支援にも有効ですので、ぜひ活用してください!

一指示一動作・説明のゲーム化の展開例
ゲームの準備
一指示一動作
  1. 2人1組になって向かい合わせます。
  2. お互いの左手で輪っかをつくらせます。(先生が見本を見せる)
  3. 右手は人差し指を出すよう伝えます。
  4. 相手の輪っかのなかに人差し指を入れるよう指示します。(輪っかが小さすぎないか声かけをして、みんなができているか見てまわりながら、できていることに肯定の言葉をかける)
ルールの説明
一指示一動作+ 説明のゲーム化
  1. 「キャッチ」の合図で輪っかから人差し指を抜いてみるよう伝えます。
  2. 次は「キャッチ」の合図で人差し指は抜き、輪っかの方は相手の人差し指に逃げられないようにギュッと握るよう伝えます。
  3. 「 キャッチ」の合図の出し方に変化をつけて、緊張感を楽しみながら、うまく逃げられた嬉しさやキャッチできた楽しさを味わいます。

対象者の緊張をほぐして打ち解けた雰囲気をつくるには?

高齢者施設でのレクリエーションタイム。
レクリエーション支援を任された若い新人スタッフは、気合満々で臨みましたが、初対面ということもあり、対象者に構えられてしまいました。
さて、皆さんならこんなとき、どうしますか?

解決策!
「同時発声・同時動作」で場の一体感をつくり、心の距離を縮めよう!

楽しくレクリエーション活動を行うためには、支援者を含め、参加者の意識がひとつになった「良好な集団」をつくることが大切です。「良好な集団づくり」を行うために有効なのはアイスブレーキングですが、効果的なアイスブレーキングを行うための支援技術のひとつが「同時発声・同時動作」です。同じタイミングで言葉を発したり動作をしたりすることで、参加者は周囲の人とひとつになったような一体感や安心感を覚えます。心の距離を縮めた上で、レクリエーション活動に取り組むと、より有意義な時間を過ごせることはもちろん、日頃の関係性も良好なものになります。

同時発声・同時動作の展開例
「指折りグーパー」で展開!
STEP1 全員で同じ動作をする
  1. 最初に、支援者が親指から順に指を折る動作を見せます。
  2. 対象者にも同じ動作を促します。このとき支援者は、「せーの」と合図して、一斉に動作が始められるようにします。
  3. 支援者の「1.2.3.4 握ってパー!」というコールに合わせて同じ動作を全員で行います。
ルールの説明
STEP2 全員で歌う( 発声する)
  1. 動作が揃っていることを確認し、支援者は動きを止めずに、「うさぎとかめ」を歌いますよ〜と言って、歌い出します。
  2. 対象者にも、一緒に歌うことを促し、全員で歌いながら動作することを楽しみます。これで「同時発声・同時動作」による一体感と安心感をつくることができます。